バルカン室内管弦楽団 指揮者 柳澤寿男氏からのお礼状が届きました
バルカン室内管弦楽団 指揮者 柳澤寿男氏からのお礼状が届きました

バルカン室内管弦楽団 指揮者 柳澤寿男氏からのお礼状が届きました

佐藤ゆり先生!!

この度は多大なるご尽力を賜り、誠にありがとうございました。
またご迷惑をおかけいたし、誠に申し訳ございませんでした。
5月9日に来日しましたバルカン室内管弦楽団楽団員23名も日本時間5月24日20時ごろには
バルカン半島各地に無事全員帰国いたしました。
鎌倉公演をはじめとしたこの度の来日公演では、全公演が別々のプログラムになり、
これまでにない大変なツアーとなりましたが、
蓋を開けてみれば、すべての公演がそれぞれに違った有意義な公演となり、
バルカン室内管弦楽団としてはこれまで以上の完成度の高いパフォーマンスと感じております。
佐藤先生をはじめ、鎌倉のみなさまのご尽力を賜り、
何とか無事に公演を終えることができほっとしています。
鎌倉合唱連盟有志のみなさまとのフィンランディアもとても心地よく心に残っております.
合唱をまとめてくださった佐藤先生のお陰です。
本当にありがとうございました。

一方で、民族融和オーケストラという点におきましても、非常に重要な機会を得ることができました。
バルカン室内管弦楽団の目的は、ただ単に「対立している民族が仲良くする」
という表面的なものだけではありません。

バルカン室内管弦楽団を黎明期から支えてきたものは、国連開発計画(UNDP)が推し進める
「人間の安全保障(Human Security)」という考え方でした。「人間の安全保障」は、国連開発計画が毎年
発表している「人間開発報告書(Human Development Report)」のなかで1994年に生まれた言葉であり、
生前バルカン室内管弦楽団を応援してくださっていた緒方貞子氏も「人間の安全保障とは、
人びと一人ひとりに焦点を当て、その安全を最優先するとともに、人びと自らが安全と発展を推進することを
重視する考え方」と述べており、冷戦以降、安全保障の軸足が国家にあった時代は終わり、
いまや安全保障の担い手は国家や政治のみならず民間人にもあると私も思います。
そういったなかで、楽団員が「仲良くする」という表面的なものだけではなく、
ひとり一人がいかなる恐怖や欠乏からも逃れ、安全に暮らせる将来のために、
「人間の安全保障」という目標に向かって結束し、隣人との共存共栄を成し遂げようとしています。
自然災害、食糧危機、感染症を含めた健康被害が一度に押し寄せることもあります。
日頃のソーシャル・コヒージョン(社会的連帯)の大切さを紛争を経験したバルカン半島のみなさんは
日本人よりも敏感に察しているのかも知れません。

改めまして、佐藤先生はじめ鎌倉のみなさまのご尽力のもとバルカン室内管弦楽団鎌倉公演が無事
終わりましたこと、心より感謝申し上げます。

柳澤寿男 拝